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2023-06-03 09:38:00

「天気痛」について

雨が降ると頭痛がするなど身体の不調を感じませんか?それは天気によって症状が現れる「天気痛」かもしれません。 「天気痛」とは、台風が近づくと頭痛がする、雨が降ると古傷が傷むなど、その人がもともともっていた症状が天気に影響されて現れたり悪化したりするものをいいます。天気痛の症状は、頭痛、神経痛の悪化、めまい、肩こり、首痛、腰痛、眠気、耳の症状、気分の落ち込み、うつ、不安症など多岐にわたります。今年は気温差が大きかったり、天候の悪化が多く「天気痛」に悩まされる人も多いようです。この天気痛とうまくつきあっていくために天気痛について、その原因や対処法についてご紹介します。

 

(1)「天気痛」の原因とは

これまでの研究で、気象要素の中でも、特に気圧の変化が天気痛の大きな引き金になっていることが分かってきました。この気圧を感知するのが、体の平衡感覚をつかさどる内耳です。天気痛は気圧の変化に内耳のセンサーが過剰反応し、その情報が脳に伝わって自律神経のバランスが乱れ、様々な不調を引き起こしていると考えられます。そのため内耳が敏感な人は気圧の変化によるストレスが大きく、不調が起こりやすいのです。寒暖差が大きく気圧の変化も激しい春先、低気圧が繰り返し前線に沿って動き、湿気も多い梅雨時、さらに夏から秋にかけての台風シーズンは特に天気痛が起こりやすいので注意が必要です。片頭痛の人には気圧変化の激しい季節になると不安になり、眠れなくなったり、痛みがひどくなったりする人が多くいます。こうした悪循環に陥らないためにも、天気と体の関係に気づき、適切に対処することが大事です。

天気痛を訴えて受診する患者さんの3分の2は女性で、一番多いのが40代です。その理由の1つとして、女性のほうが男性に比べ自然への感受性が高く、天気の影響を受けやすいことが考えられます。また、現代女性を取り巻く社会環境も影響しています。昔と違って自然の変化に即して活動・休息することができなくなり、ストレスがかかっていること、さらに、女性ホルモンの影響で片頭痛もちが多いことも女性に天気痛が多い理由といえます。
さらに、更年期の不定愁訴(しゅうそ)には、頭痛、肩こり、うつなど天気の影響を受けやすいものが多く、更年期世代の女性にも天気痛の訴えが高率で見られます。 

 

 

(2)天気痛の対処法

耳の周りの血行が悪くなると、内耳がむくんで過敏になり、天気痛を起こしやすくなります。そのため天気痛が起こりそうな時は内耳の血行をよくすると効果的です。耳にホットタオルや温かいペットボトルを当てたり、耳の後ろにあるツボ「完骨(かんこつ)」のあたりを温めたりするとよいでしょう。天気痛が起きやすい人は日頃からなるべく耳を冷やさないようにし、冬場はイヤーマフや帽子などで防寒対策を心がけてください。

「くるくる耳マッサージ」もおすすめです。耳と耳の周りをもみほぐすことで血行がよくなり、内耳の状態の改善に効果があります。マッサージは症状が出る前に行うのがポイント。予防的ケアにも役立つので、朝・昼・晩1回ずつ、まずは2週間~1カ月続けてみましょう。

「くるくる耳マッサージ」

① 親指と人差し指で両耳を軽くつまみ、上・下横にそれぞれ5秒ずつ引っ張る。

② 耳を軽く横に引っ張りながら、後ろ方向に5回ゆっくりと回す。

③ 耳を包むように折り曲げて、5秒間キープする。

④ 手のひらで耳全体を覆い、後ろ方向に円を描くようにゆっくりと回す。これを5回行う。

 

「天気痛」は誰にでも起こりうる症状です。気圧の変化に注意し、うまくつきあっていきましょう。